iPadシリーズ初のM1チップを搭載し、Liquid Retina XDR(ミニLED)ディスプレイを搭載したiPad Pro 12.9インチモデル。
iPad Pro 12.9インチ(第4世代)とデザインはほぼ変わりませんが、スペックが大幅にアップデートされました。
この記事では、iPad Pro 12.9インチ(第5世代)のデザインやサイズ感、Liquid Retina XDRディスプレイの特徴、M1チップ性能やカメラスペックなどを徹底解説レビューします。
iPad Proが気になっている方、iPad Pro 12.9インチ(第5世代)を購入しようか悩んでいる方は必見です。
目次
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)の特徴
iPad Pro 12.9インチ (第5世代)は2021年5月21日に発売されました。
iPad Proはより高性能に進化し、さらに最高のパフォーマンスと圧倒的な拡張性を発揮するタブレットです。
デザイン・外観
パッケージは、XDRディスプレイのデザインが美しく表現されています。
同梱物はUSB-C充電ケーブルとUSB-C電源アダプタ(20W)です。
iPad ProはポートがiPhoneのようなLightningではなくUSB-CなのでC to Cのケーブルとなります。
12.9インチのLiquid Retina XDRディスプレイです。
従来モデルより大きく進化したポイントとなります。
背面には12MPの広角カメラと10MPの超広角カメラ、LiDARスキャナが搭載しています。
背面下部には、「Magic Keyboard」などを接続するためのマグネット付きの端子「スマートコネクター」を搭載しています。
側面にはApple Pencil(第2世代)用の充電コネクタを搭載しています。
磁石で本体とくっついて無線充電が可能です。
本体下部には、USB-Cポートとスピーカーを搭載しています。
USB 4に対応するThunderboltポートを搭載し6Kディスプレイや超高速ストレージなども接続可能です。
スピーカーは従来モデル同様に、本体上部と下部で4つ (4.0ch)搭載されています。
音に立体感があり、映像作品の鑑賞や音楽鑑賞にも最適です。
Dolby Atmos・Dolby Vision対応の4K HDRの動画を視聴しましたが、十分な低音が鳴り響き、音の立体感がタブレットとは思えないほどでした。
サイズ感・重量
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は高さが280.6mm、幅が214.9mm、厚さ6.4mmとなります。
ポイント
iPad Pro12.9インチとA4コピー用紙のサイズを比べると、iPad Proの方が縦幅がやや短いです。横幅はほぼ同じです。
12.9インチは結構大きいイメージがありますが、A4の紙よりも一回り小さいため、A4の入るバッグであれば持ち運べます。
また、新型モデルはディスプレイにミニLEDを採用したため、従来モデルよりも0.5mm厚くなりましたが気になるレベルではありません。
重量はガラスフィルム込みで738g(Wi-Fiモデル)となります。本体のみで682gとなります。
ポイント
iPhoneと比べるととても重く感じますが、ノートパソコンと比べるとかなり軽いと感じます。これがiPad Pro 12.9インチの立ち位置となります。
Magic Keyboardやカバーを装着するとズッシリと重く感じました。カバーをつけたまま長時間の手持ちは厳しい重さです。
ストレージとメモリ容量
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)では、本体ストレージ容量の選択肢が広がりました。
最大ストレージサイズが2TBとなりました。
ストレージが1TB以上のモデルがメモリ16GB搭載となります。
ストレージ容量とメモリ容量
メモリ8GB搭載:128GB/256GB/512GBモデル
メモリ16GB搭載:1TB/2TBモデル
高度な動画編集や画像加工などで今あるiPad Proの性能をフルに引き出すには、本体容量1TB以上を選ぶのが望ましいと感じました。
バッテリー持ち
Apple公表値だと、Wi-Fiでのインターネット利用やビデオ再生で最大10時間となっています。
実際にバッテリー計測をしてみました。YouTubeの動画(1080p60)を明るさ100%音量50%で連続再生しています。
バッテリー残量計測
30分後:98%
1時間後:96%
2時間後:90%
3時間後:83%
5時間後:69%
目安程度に参考にしてください。Web閲覧やメッセージ確認、たまに動画を見るくらいの使い方であれば、バッテリー持ちを気にせず使えます
Liquid Retina XDRディスプレイの性能
12.9インチのiPad Proだけに搭載されたLiquid Retina XDRディスプレイは、ミニLEDを1万個以上内蔵していて、1,000,000:1の高コントラスト比と最大1,600ニトの高輝度表示に対応しました。
従来モデルと性能比較
HDRコンテンツなどを視聴する際は、従来モデルの液晶ディスプレイとは圧倒的な差があります。
従来までのiPad Proと見比べると画面のすべてが明るく表示されていますが、iPad Pro 12.9インチ(第5世代)はミニLEDを内蔵していて、黒い部分はLEDが点灯しないためしっかり黒く表示されています。
ポイント
明るい部分はより明るく鮮やかに表示され、暗い部分はより暗く引き締まって鮮明な映像が表示されます。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)では、画面の黒が「本当に黒く」見えます。
高コントラストで圧倒的な映像美
高コントラストのためより立体的で自然な映像を映し出します。
ミニLEDを搭載したLiquid Retina XDRディスプレイは写真やイラストをより美しく映し出します。
4K HDRコンテンツの次世代高画質技術を新型iPad Proで見ると、他のタブレットやスマホとは比べ物になりません。
撮影した写真をiPad Proで見てみると、ミニLEDによりコントラストが上がっているのでより立体的に見えます。
色がはっきりと映り、再現性が非常に高く美しく表示されます。
HDRコンテンツ以外でも大画面で美しいディスプレイなので、雑誌やマンガなどがより繊細に表示されます。
動画編集やイラスト制作などのクリエイティブ作業の際には、精細な映像が表示できることでより高クオリティの作品が作れると感じました。
色の伸びが良いため、動画視聴だけでなく動画制作など様々な面で大きな価値を持つディスプレイです。
Webサイトの閲覧の際は、文字は驚くほど鮮明に表示され読みやすく、白い部分がより明るく見えるので非常に快適です。
日中の晴天の下でも綺麗にはっきりと画面を見ることができます。
120Hzの高リフレッシュレート
120Hzの高いリフレッシュレート(ProMotionテクノロジー)に対応しているため、映像が滑らかに動きます。
動画配信サイトで映画やドラマを視聴する際は、かなり臨場感や迫力が感じられました。
参考
リフレッシュレートとは、ディスプレイが1秒間に何回、画面を更新するかを表します。
60Hzの場合は、1秒間に60枚の画像を表示
120Hzの場合は、1秒間に120枚の画像を表示
Webブラウジングも画面が非常に滑らかな動きで快適です。
リフレッシュレートが高いので、画面が滑らかに動き快適に操作ができます。
ポイント
ミニLEDの技術と120Hzの高リフレッシュレートで映像の美しさが圧倒的です。
ディスプレイが大幅にアップデートしたことでイラスト制作もさらに捗ります。
文字やイラスト、絵を描く際はほとんど遅延を感じません。速記でも追従性は抜群です。
ポイント
普段の操作はもちろん、ゲームや映像を見る際は非常に快適です。Apple Pencilの書き心地も滑らかです。
M1チップの性能
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)は初めてMacと同じプロセッサーの「M1チップ」を搭載し、さらに高速化しました。
iPadOSで様々な処理を快適に行えるうえに、チップセットがMacBook Proと同等になったことでパフォーマンスが大幅アップしています。
ポイント
プロセッサーがA12Z BionicからM1にアップデートされ処理速度が50%程向上しています。
今回は様々なベンチマークを測定しました。
GeekBench 5でのCPU性能のベンチマークの値は以下のとおりです。
iPad Pro 2021 | iPad Pro 2020 | |
シングルコア | 1719 | 1126 |
マルチコア | 7131 | 4654 |
尚、Antutuベンチマークではスコアが圧倒的で、従来のスコアはおよそ70万点のところ新型iPad Proは100万点を上回る結果となりました。
さらに、「Wild Life」という非常に重いベンチマークをテストしたところ、100fps超えでかなり滑らかに動きました。
フィールドの背景が鮮やかで非常にグラフィックが綺麗です。
Overall Scoreは17236となりました。従来のiPad Proは13380でしたので、3D Markの結果はかなり進化しています。
動画視聴だけでなく、ゲームも非常に快適な性能です。
4K解像度の動画編集や動画の書き出し、大量のRAW写真をJPEGで書き出すなどの作業もサクサク動作しました。
カメラ性能と新機能
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)のカメラはタブレット最上級となります。
1200万画素の広角カメラと1000万画素の超広角カメラを搭載しています。
デュアルレンズカメラ
広角:12MP / F値1.8
超広角:10MP / F値2.4
画角の違い
iPad Proは広角、超広角と2つの画角で写真を撮れます。
同じ位置からそれぞれ撮影してみました。
超広角で撮影
広角で撮影
超広角ではかなり広い画角となり、広い景色の撮影ができます。
「スマートHDR 3」が対応となり、環境光の明暗差が大きなシーンでも、より美しい撮影が可能になりました。
動画も非常に綺麗な映像を撮影することができます。また、撮影した後すぐに大画面のLiquid Retina XDRディスプレイで映像を確認できます。
超広角対応TrueDepthカメラ
ディスプレイ上部のベゼルにはTrueDepthカメラが搭載されています。
新型iPad Proはフロントカメラが7MPから12MPに画素数が増えスペックアップしました。
ポイント
センターフレームに対応した12MP超広角カメラと122°視野角を持つ新しい超広角カメラを搭載しています。
これによりビデオ通話をするシーンでは自動で顔を認識し、人を追尾したり画角を調整する機能が追加されました。
Appleの通話アプリ「FaceTime」で活用できます。今後、Zoomなど様々なビデオ会議アプリで活用できます。
レンズ補正機能が搭載
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)では新たにシーンの検出機能とレンズ補正機能が搭載されました。
ポイント
ソフトウェア的に自動で画質を補正する機能が追加されました。
超広角でも歪みをなくして撮影が可能となります。
Thunderbolt(USB 4)ポートの拡張性
従来のiPad ProはUSB-Cポート(USB 3.1 Gen 2)が搭載されていますが、iPad Pro 12.9インチ(第5世代)ではUSB 4に対応するThunderboltポートが搭載されました。
より高速な通信が可能となります。データの同期や転送速度が高速化するので、MacBookに近い仕様となります。
ポイント
ファイル転送が高速化し、高速ストレージや高画質ディスプレイへの接続に対応しました。
Thunderbolt 3に対応したことにより、6Kディスプレイや高速の外付けSSDもしっかり活かせます。
Thunderbolt 3の特徴
USB-C端子を使用し、Thunderbolt 3の通信を行うと最大40Gbpsの転送速度を実現します。USB-CでもあるUSB3.1の転送速度は10Gpbsであるため、4分の1の時間でデータを転送できます。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)レビューまとめ
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)の最大の目玉はやはり「ミニLED」です。
Liquid Retina XDRディスプレイを搭載したことで、映像の「立体感」「没入感」が増して圧倒的に画面が美しくなりました。
さらにM1チップ搭載により高速化し、あらゆるパフォーマンスが向上しました。
従来モデルと同じデザインですが、性能が劇的に進化しています。
ポイント
かなりオーバースペックな新型iPad Pro。
パソコンでも快適に使えるCPUが搭載していて非常に快適なタブレットです。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)がおすすめな方は以下のとおりです。
こんな方におすすめ
- 美しい動画を視聴したい!
- 動画編集、イラスト制作をしたい!
- 複数のコンテンツを表示して作業したい!
- 家で使うことが多いが、たまに持ち運びたい!
iPad Proの選び方は「持ち運ぶか持ち運ばないか」であまり考えず、どんな用途で使いたいかが最重要です。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)の時点で完成されたタブレットです。日々の生活がさらに向上することは間違いありません。
価格は高いですが、満足度を考えれば納得の価格だと言えます。